【めちゃくちゃ優しいアート解説】「分かる」とは「分からなくなる」ということ

アート解説

【今回の難易度 ★☆☆☆☆】

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分かるとは、「分かるようになった」と感じる状態になることではありません。
分かるとは、「あれも分からない、これも分からない」と、分からないことが増えるということです。

【アート解説序章】分かるとは何か

世界は、分からない。

私たちは、日々いろんな物事を分かっていると思っています。
そして、それらが全て正しいという設定で生きています。
例えば地球が丸いとかです。僕は陰謀論者ではないですが、丸い地球をこの眼で直接確認したことがないので一応疑う余地があります。もちろんそんなことを言ってたら生きていけないので、普段は地球は丸いと信じています。

そんな具合で、この世界の全てのものごとは実は疑う余地があるんですが、いちいち疑ってたらキリが無いよね、ということで、とりあえずみんなで信じて、それらの常識が正しいという設定で生きています。

まず、美術とか哲学という領域は、そのような「普段は正しいという設定にしてあるもの」の全てを疑い尽くしても許される領域であるということです。

「分かった!」と思った時は何も分かってない

美術や哲学の領域でモノを考えるとき、この世界に正しい事など何一つないです。
私たちが「いま世間で信じられていることが全て正しいという設定で生きているだけで、実はこの世界について何も知らないし、知ることが出来ない」のと同じように、
私たちは美術について何も分かることが出来ないです。

しかし私たちは「分かるという状態」にとてつもなく慣れ過ぎてしまっていて、なんでもかんでも分かるはずだと思い込んでいたり、「分からない」という状態を許容出来なかったりします。

美術を、アートをこれから分かっていくための最初の一歩は「私たちは何も分かれない」ということを分かることです。これが一番大切です。
分かれないことを受け入れて、分からないことを沢山抱えたまま生きていくということです。
「分かれるものだ」と期待して、アート解説などを見て、「なんでこんな難しい事ばかり言うのだろう」とがっかりすることは多いでしょうが、それは「アートが分かる」に近い状態です。
その時に大切なのは、何がどう分からなかったのかを分析することです。

特に、解説の中で
・どの単語の意味が分からなかったか
・どの見解に飛躍を感じたか
・どの解釈に納得がいかなかったか
とかをよく分析するのがよいです。
そうすると、理解に近付きます。

世界や、美術や、哲学を本当に分かるためには
「具体的な分からない」を増やすことが大切です。
アートが分かるということは、分からないが増えるということであり、
「もっとたくさんの事を知りたい!」という状態になる、ということです。

反対に、「なるほど、分かった!」と思わせてくれる解説は、
分かりやすさに重点を置いた乱暴な解説である
と言うこともできます。
その一瞬には「分かった!」と感じても、その解説の範疇を超えたものに出会った時、その解説が教えてくれたことだけでは対応できません。

しかしアートの世界では常に、そのような「既存の解説の外側へ飛び出していこうとするもの」が生み出され続けています。
これが『前衛』です。
分かりやすい解説は刹那的に、分かった気にさせてくれますが、すぐに役に立たなくなります。
もっと悪い場合だと、自分が一度「分かった!」と思えたものを信じたいあまり、その後に出てくる、理解の範疇を超えたもの『前衛』を否定してしまうことさえあります。

誰もが、この世界を分かりたいと思っています。
誰もが、自分は分かっていると思っていたいです。
誰もが、分かりやすいことを求めています。
その心につけ込むようにして、いまの世の中には「分かりやすいもの」があふれ返っています。
分かりやすいほうが、ウケるんですね。

なので、
「分かった!」と思わされた時には、気を付けてください。
それは、他人の言葉で言いくるめられてしまったということです。
その人の言葉に、疑いを持てるだけの知識や考えを持てていないことの表れでもあります。

アートの世界において、誰の言葉も正しくありません。
僕の言葉も含めて、全ての言葉には疑う余地があります。

これをキーワードにして、これから一緒に美術の世界を見ていきましょう。
これが僕の美術解説の序章「分かるとは何か」です。
次は「分かり方を分かる」という内容で書きます。

 

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